キル・ビル Kill Bill特集
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キル・ビル特集。ネタばれまくりなので見てから来ていただいた方がいいかも。 とにかくこの2本は「マンガ」であると思わなければついて来れない人も多いと思いますが、敢えていろいろツッコンでいます。ご覧になった方には同意していただける部分があるかと思います。もう一度見直しながら見るとまた楽しい…かも。 日本が主役『キル・ビル』のコーナーに戻る


キル・ビル Kill Bill: Vol. 1 2003
クエンティン・タランティーノ脚本・監督
撮影: ロバート・リチャードソン
アニメーション監督: 中澤一登
アニメーションキャラ: 石井克人
美術:種田陽平
武術指導:ユエン・ウーピン

ユマ・サーマン(ザ・ブライド=キドー)
マイケル・マドセン(バド)
サミュエル・L・ジャクソン(オルガン奏者)
ルーシー・リュー(オーレン・石井)
デビッド・キャラダイン(ビル)
千葉真一(サニー千葉)(服部半蔵・剣術指導も)
ダリル・ハンナ(エル・ドライバー)
ヴィヴィカ・A・フォックス(ヴァニータ・グリーン)
ボー・スべンソン(牧師)
マイケル・パークス (保安官)
ゴードン・リュー(ジョニー・モー:クレイジー88のリーダー)
栗山千明(ゴーゴー夕張:オーレンの用心棒)
麿赤兒(小澤親分)
國村隼(田中親分)
北村一輝(小路親分)
菅田俊(弁田親分)
大門伍郎(本田組長)
田中要次(クレイジー88構成員)
風祭ゆき(青葉屋女主人)
大葉健二(半蔵の弟子・すし屋の店員)
ジュリー・ドレフュス(ソフィ:オーレンの通訳・弁護士、ビルの手下)

(あらすじ)
かつて女殺し屋として恐れられた主人公ザ・ブライド(花嫁=サーマン)は、殺し屋組織とボスのビル(キャラダイン)から脱出し、秘密に結婚しようとしていた。そのリハーサル中に、ビルとかつての仲間だった4人の殺し屋(毒蛇暗殺団、バド、ヴァニータ、オーレン石井、エル)に襲撃されてしまう。夫や友人は皆殺しにされ、妊娠中だったザ・ブライドも壮絶なリンチを受け、子を失い、4年間も意識を失う瀕死の状態になる。
病院で、ある日突然昏睡から目覚めたザ・ブライドは、4人の殺し屋とビルに復讐を誓い、立ち上がった。
まずはナイフ使いの名手ヴァニータ(フォックス)の家を訪れる。すでに主婦となり、娘もいて平穏な暮らしをしていたヴァニータだったが、彼女の幼い娘ニッキーの目の前でザ・ブライドは復讐を遂げる。
その後、オーレン石井(ルーシー・リュー)が日本のヤクザの女ボスになっているのを知ったザ・ブライドはまず沖縄に飛び、ビルと親交があったという伝説の刀鍛冶、服部半蔵(千葉)のもとへ。服部から最強の刀をもらい、さらに修行を積んだザ・ブライドは、東京に渡り、ついにオーレンを追い詰める。高級料亭青葉屋でオーレンとビルが放ったヤクザ一味ジョニー・モー(ゴードン・リュー)率いるクレイジー88の殺人軍団、女子高生のボディガード・ゴーゴー夕張(栗山千明)らとの壮絶なチャンバラの末、彼らを尽く叩き斬ったザ・ブライドはついにオーレンとの最終決戦に臨む…。


タランティーノ(以下QT)は日本映画が大好きで、古今の名作からテレビドラマ、いわゆるB級映画までを見まくっており、このVol.1はその趣味がもろに出た作品。
冒頭に深作欣二監督に捧げる」とあるとおり(日本公開版のみ)、まず深作欣二関連でいうと
ゴーゴー夕張役の栗山千明は深作欣二の遺作『バトル・ロワイヤル』から抜擢。因みに役名の「ゴーゴー」はアニメ『マッハGoGoGo』から、「夕張」はファンタスティック映画祭が開かれる「夕張市」からとっている。(QTは過去に夕張に招かれている。)

当初はゴーゴーにはユキという双子の姉がいて、ザ・ブライドに復讐する『ユキの復讐』というシークェンスが構想されていたがカットされた。ゴーゴーは全く台詞無しで、ザ・ブライドに殺された後、ユキがザ・ブライドに戦いを挑むという話だった。『バトル・ロワイヤル』に出演していた栗山千明と柴咲コウの二人のうちどちらを選ぶか迷った末結局栗山に決めたらしい。柴咲が辞退したという説もあるがコウさん残念でしたね!

千葉真一に関しても深作欣二監督作『柳生一族の陰謀』に出ていたあこがれの俳優だったため出演を依頼。テレビ時代劇『影の軍団』で服部半蔵役をやっていたのを知っているQTは嫌がる千葉にむりやり「服部半蔵」という役名で登場させた。ヴァニータを倒した後の「武士たるもの、戦いに臨んでは己の敵を倒すことに専念すべし…」という彼のナレーションは、テレビ版『柳生一族の陰謀』まんま。

沖縄の「すしや」での千葉と大葉(実際も師弟関係)の会話は、どうせQTは日本語わからんだろうということでアドリブでやった。
「お前が将軍ならおれは天皇陛下だよっ」というちょっと危ない台詞があるがそのあと千葉は台詞を思い切り噛んじまっているがそのまま使われている。そのあと大葉の「ハゲじゃない剃ってるだけ」と言うのは大葉が出演した映画『コータローまかりとおる!』の台詞。

で、千葉&大葉というアクションスターが出ているのに全くチャンバラが無かったのは少し寂しいと思ったのは僕だけじゃないと思う。どうやらスケジュールの都合でアクションシーンそのものの撮影がすっ飛んだ。だから千葉のクレジットにある「剣術指導」はほとんどされていないらしい。半蔵が湯気で曇ったガラスに「bill」と書き、ザ・ブライドがそれを消すシーンがあるが、沖縄で窓ガラスが曇るようなことがあるのだろーか?暑い季節(ザ・ブライドは「オキナワ」と書かれたTシャツでやって来た)だろうし。

深作欣二作品ではないが、深作欣二の出世作『仁義なき戦い』のリメイクである『新・仁義なき戦い』のテーマ曲(布袋寅泰)を、青葉屋でオーレン石井が登場するシーンで使用し、この映画のテーマ曲のごとく知られるようになった。布袋はオリジナルを作ると提案したが、QTはどうしてもこの曲を使いたくて断った。

その他気づいたこと、トリビア。
ユマ・サーマンはザ・ブライド役をQTから30歳の誕生日プレゼントとして受け取った。しかし、その頃彼女が妊娠してしまったため、製作スケジュールは約1年後にずれてしまった。
Vol.1の前半でザ・ブライドの本当の名前は「ピー音」で消されているが、正式な名前は「ベアトリクス・キドー」。しっかり隠されているようだが、飛行機のチケットにはっきりと書かれている!殺し屋なのだから偽名を使うだろ普通。というかパスポートはどーしたんだ?だからこれらは「遊び」に過ぎない。このページでは紛らわしいのでユマ・サーマンの役名はザ・ブライドで通します。

ヤクザの親分さん相手にオーレンが一席設ける場面。オーレンが純粋な日本人じゃないことを気に食わない田中親分(國村隼)を相手に「親分は腹にイチモツお有りのご様子…」などとたどたどしい日本語で話すが、田中から「合いの子が!(これおもいきり差別用語です)」と言われ、オーレンは何も言わずいきなり田中の首を日本刀ではねる残酷シーン(撮影後、國村はこの首を貰って自分で供養したそうだ)が秀逸。映画『アンタッチャブル』で裏切り者の手下を会議の席でいきなりバットで殴り殺したアル・カポネ(デ=ニーロ)を思い出す。

その後オーレンは「ここからは英語で話します」と言って英語で話し始める。やはり日本語の台詞は大変だったのかなと思ったら、それをジュリー・ドレフュス扮するソフィが卑猥な言葉もそのまま通訳する。これはQTが日本に来た時に女性通訳が下らぬ冗談まで忠実に翻訳してくれたことに感動したため、そのパロディとして使った。

オーレンは最後にまた日本語で「きょーはこれまれにひまひょ。(今日はこれまでにしましょう)」
QTはオーレンは日本人女優にする予定だったが、『シャンハイ・ヌーン』を見てルーシー・リューに即決し、日中混血米国人という設定に変えた。…梶芽衣子を予定してたのかなあ?







日本にやって来る飛行機とやけに真っ赤な夕焼け空は松竹の『吸血鬼ゴケミドロ』を参考にわざと「特撮映画」風にしている。東京のミニチュアは東宝の『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』のセットを参考にした。

東京の空港でザ・ブライドが歩く背景にある大きなポスター「レッド・アップル・タバコ」はQTが作った架空のブランドで、彼の監督作には毎回何かの形になって登場する。広告のモデルは何とソフィ役のジュリー・ドレフェス。
それにしても飛行機の中に刀を持ち込める航空会社って…。空港のシーン、刀を堂々と持って歩くザ・ブライドの前によく見ると警官がいるが彼は職質しなかったのか?確かに半蔵の刀を持って歩かないことにはこの後の話そのものが成り立たないわけだが、ザ・ブライドが乗ったバイクにも刀がある。というか、病院を抜け出した時、ほとんど何も持っていなかったはずのザ・ブライドはどこで金を手に入れたのだろう?車とかバイクとか日本への旅費とか。病院の医師バックの車「プッシーワゴン」がそんなに高く売れるとは思えないが。まあいいや。きりが無いので次!
ゴーゴー夕張の目を逃れたザ・ブライドが青葉屋のトイレに潜み、ソフィがトイレにやって来るまで待つというシーンは何と1カット。(階段〜厨房の横〜廊下〜トイレ〜廊下〜The 5.6.7.8’sが「Woo Hoo」を歌っているステージ〜階段〜廊下〜トイレ)というこのワンカットにリハーサルを6時間もかけたが、その甲斐あって1テイクで終わった。ステディカムカメラ(振動を吸収する手持ちカメラ用の機材だが、重い)を担いでたカメラマンはその直後過労で死んだと噂された

女性ばかりの日本の3人バンド、The 5.6.7.8'sの出演については、日本にロケハンに来たQTが、いったん帰る直前に立ち寄った恵比寿の雑貨屋で偶然聞いて気に入り、店員にそのバンドのCDを買いたいと頼んだが、探している時間がないので、店員が持っていたコピーを無理やり売って貰ってアメリカに持ち帰った。家で改めて聴いてQTは彼女らを青葉屋のシーンで使うことに決め、即契約した。
The 5.6.7.8's - Bomb the Twist
The 5.6.7.8's 公式サイトはこちら

青葉屋のチャーリー・ブラウンに似ていると言われる佐吉役は佐藤佐吉という脚本家・俳優。浅野忠信と哀川翔主演の『東京ゾンビ』の監督をした才人である。確かに顔もそっくりだが、ご丁寧にもチャーリー・ブラウンと同じような黄色に腰の黒いギザギザ模様の和服を着ている!

青葉屋で、ザ・ブライドがオーレン石井を呼び出す台詞「オーレン石井!勝負はまだついちゃ〜いないヨ!」と言うのが日本語。

ゴーゴー夕張との対決前にも少し会話がある。ザ・ブライドは「ゴーゴーだね、噂が一人歩きしているようだね」と日本語で話す。この鎖鎌のような武器は香港映画と『スケバン刑事』にヒントを得ている。栗山千明がなかなかいい動きと表情を見せて、この映画の見どころのひとつですね。それにしてもあんなのがぶつかったら一発で死にそうなもんだが。DVDの特典映像を見るとQT自ら殺陣やアクションを細かく演出しているようだ。ゴーゴーがこの鉄球と鎖を放り投げるシーンでは、カメラの傍に立っていたQTの頭を偶然直撃してしまったことがある。最期に目から血を流して倒れるというのは、栗山のアイデアだそうだ。衣装は最初お嬢様風のセーラー服が、その方がギャップがあって面白いと用意されたが、QTは今の日本の女子高生はブレザータイプの方が多いと知ってブレザーに変更された。
オーレンの「やっちまいなあ〜〜!」と言う台詞は一時日本でも流行った。

この後の青葉屋での派手なチャンバラでクレイジー88の連中の足元ばかりを斬りまくるところなどは若山富三郎版『子連れ狼 三途の川の乳母車』(三隅研次監督)などを参考にしている。優れた刀が他の刀をぶった切るのは拝一刀が持っていた胴太貫という刀そのもの。
手足が飛ぶ、首が飛ぶ、真っ二つになる、目玉をくり抜かれる。血しぶきの量は半端じゃない。因みに『キル・ビル』2作で450ガロン(一升瓶で約千本)以上の血糊が使われたそうである。

クレイジー88の幹部役で、最初の方でザ・ブライドに腹を刺されて絶命する女は千葉真一と野際陽子との間に生まれた実娘、真瀬樹里である。

クレイジー88のリーダー、ジョニー・モーは当初はマイケル・マドセンが演じる予定だった。

この青葉屋のシーンの撮影は約1ヶ月に及んだ。カット数見ると確かに相当大変だったろう。殺陣やワイヤーアクションだけでなく、特殊メイクや壊れる備品などの準備もあるし、ワンカット撮影、天井目線から下に降りて来る高度なクレーンによるカメラワークなど、カメラマン連中はすったもんだだったに違いない。

ジュリー・ドレフュスはこのシーンの最初に腕を斬られて、ずっとのたうちまわっているという役だったので、1ヶ月の間撮影のたびにずっと血糊の中で横になっていたそうだ。

ルーシー・リューの役名「オーレン・石井」は『影の軍団』の登場人物「お蓮」から、「石井」はQTが敬愛する4人の監督(石井輝男、石井聰亙、石井隆、石井克人から取られた。石井克人は、オーレンの過去を描いたアニメ部分のキャラクターデザインなどに関わっている(克人はかつて僕の同僚です。部署が全く違ったので面識は無いけど)。アニメの製作は『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』押井守監督)などで知られる日本のアニメ会社プロダクションIG。同社の作品で日本刀を持った女子高生が吸血鬼を退治する『BLOOD THE LAST VAMPIRE』(仏パテ社が実写映画化・2008年公開)もQTに影響を与えている。
國村隼、菅田俊、風祭ゆき(懐かしいにっかつの女優さん)は三池崇史監督の『殺し屋1』を見たQTが抜擢した。




ザ・ブライドが青葉屋での決戦に行く時に来ている黄色に黒のストライプの服は、『死亡遊戯』でブルース・リーが着ていた「トラック・スーツ」。ヘルメットも同様。

スニーカーはアシックスオニツカタイガーだが、裏は「Fuck U」の文字がある特注品(ガラスの上を歩くカットで確認できる)。スーツはこの『キル・ビル』の後あちこちで見かけるようになったような気がする。クレイジー88の面々のマスクは同じくブルース・リーが出演した『グリーン・ホーネット』の日本人カトー役で使っていたもの

『ブルース・リー IN グリーン・ホーネット』


刀を使った女殺し屋というプロットそのものも藤田敏八監督の『修羅雪姫』にヒントを得ている。ザ・ブライドとオーレンの決戦舞台が雪の日本庭園であるのは『修羅雪姫』そのまま。そういえば『修羅雪姫』も『子連れ狼』も小池一夫原作だ。『キル・ビル』とは関係ないが小池先生の本に出てくるキャラの台詞にはひらがなの「ん」は使われない。必ずカタカナの「ン」である。ルビまで「ン」だ。何か強迫観念でもあったのだろうか?閑話休題。

二人の日本語の会話、「いい刀だね誰が作ったんだい?」「ハットリ・ハンゾウ」「ウソツケ〜」といったやり取りのあと、名曲『悲しき願い』の流れる中、最終決戦が始まる。ここは笑うどころではなく、結構ゾクゾクしてしまった。途中背中を切られて倒れるザ・ブライドだが、立ち上がり「カカッテキナ、オモイッキリネ」と言う。

そういえば、彼女はどこで日本語を習っていたのだろう?半蔵に対しては最初「コニチハ」「アリガト」とか言っていたのに「斬りたい鼠がいるから」など途中から急に流暢に話し出すし。vol.2でもパイ・メイに向かって「日本語は話せる」というくだりもあるがビルの元で日本語学校でも通っていたのだろうか。むしろオーレンに通わせて欲しかった。

で、「さっきは馬鹿にして悪かった」「イクヨ」「キナ!」などのやり取りの後、仰天の決着が付く。今際の言葉(日本語)「本当にハットリ・ハンゾウの刀だったんだ…」いやあ凄い。こんな瀕死の状況でよくしゃべれる!偉い!

ルーシー・リュー(オーレン)のスタントは「ボディビル界の百恵ちゃん」こと西脇美智子が担当している。彼女は現在アメリカでスタントウーマンとして活躍しているのだ。

青葉屋のシークエンス、ふすまや障子が倒れたり開けてみると夕陽だったり雪景色だったりというのは、歌舞伎の書割にインスピレーションを受けて独特の様式美を作った鈴木清順の(例えば『関東無宿』)のオマージュだろう。

それにしてもスプラッターホラーですねこれはもう。クレイジー88にしてみればザ・ブライドはジェイソンみたいな存在では?

で、『修羅雪姫』の主人公だった梶芽衣子が歌う『修羅の花』がこのシーンのラストに流れる。これはまたこれで妙にマッチしてまして不思議な感覚です。

この決戦後のザ・ブライド、腕を斬ったソフィにさらに落とし前を付け(ひえ〜失血死しないのかい?)、その後はおそらくどこかで傷を癒し(彼女も背中斬られて重傷だったはず)、少なくともクレイジー88の全員(あ、一人助かっているか。イヤイヤする少年)とゴーゴー夕張とオーレンを殺し(合計57人)、ソフィの両腕を斬った凶悪犯(殺人・傷害・銃刀法違反)なわけで、大勢の人に顔を見られているし、遺留品も大量なのにも関わらず、警察にも見つからず、刀を持って飛行機に乗って堂々とアメリカに帰って行きます。さすがプロの殺し屋はやることが違う。だいたいこの映画には「警察」というものはほとんど存在しないわけで、まあ、日本のヤクザ映画も同じようなものかもしれないが。


↑尾藤イサオの『悲しき願い』があります。


クレイジー88の88は「四国八十八ヵ所霊場」にちなむ。これも栗山千明が出ていた映画『死国』(長崎俊一監督)から。

で、肝心のビルはvol.1では一切顔を出さない。007の秘密結社スぺクターのボスのように手元だけと声だけ。これでは否が応でもvol.2を見なければ!という気にさせる。

まず、日本映画をこれほど好きになってくれた監督に拍手を送りたい。もうおそらくここまでやってくれる外国人監督は出ないだろう。黒澤小津ばかりが世界で評価されがちだが、日本には深作欣二、石井輝男、鈴木清順藤田敏八三隅研次本多猪四郎などの怪獣映画などなど世界に誇れる映画が数々あることを再認識させられました。大真面目な大作映画なのに変なところがある『ラスト・サムライ』『SAYURI』と比べれば軽〜いポップカルチャーとして認識して、「変てこ日本」と「妙なストーリー」と「派手な画面」を楽しむべきでしょう。

KiLL BiLL SONG(youtube)
↑僕が大好きなシーン。片目のエル(ダリル・ハンナ)が看護婦に化け、口笛を吹きながら病室で昏睡しているザ・ブライドを殺しに行くところ。画面が左右に分かれるのはブライアン・デ=パルマ監督の演出そっくり!
口笛の曲はヒッチコック映画でおなじみの作曲家バーナード・ハーマンによる映画音楽『密室の恐怖実験』のテーマ(この映画、日本では昔B級ホラーが流行った時にビデオ発売のみ。なんちゅうマニアックな!)。口笛は途中までダリル・ハンナ本人のもので、プロ並みの音を聴かせてくれる。
また、ダリル・ハンナは元チア・リーダーなので運動神経は抜群(『ブレードランナー』ではスタントマンなしでバック転などを披露している)。
それにしても…エルはおしゃれだ。看護婦に化ける時はわざわざ「赤十字の眼帯」に付け替えている。
ところで…4年ぶりに目覚めたザ・ブライドが寝たきりだったので足腰が立たない。急に明るいところに出るとまぶしいので倒したバック医師が持っていたエルビスタイプのサングラスをかける。…細かい演出だと思うが、足だけでなく、手や腕の力も入らないような気がするのだが…。

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↑ダリル・ハンナ24歳!
かわいい人魚の役ですよ。

キル・ビル Vol.2 Kill Bill: Vol.2 2004
クエンティン・タランティーノ脚本・監督
撮影: ロバート・リチャードソン
オリジナル音楽:ロバート・ロドリゲス
武術指導:ユエン・ウーピン

ユマ・サーマン(ザ・ブライド=キドー)
マイケル・マドセン(バド)
サミュエル・L・ジャクソン(オルガン奏者)
デビッド・キャラダイン(ビル)
ダリル・ハンナ(エル・ドライバー)
ボー・スべンソン(牧師)
マイケル・パークス (エステバン・ビハイオ)
ゴードン・リュー(ペイ・メイ)

(あらすじ)
ザ・ブライドは日本でのオーレンへの復讐を終え、アメリカに帰って来る。残るはバドとエル、そしてビル。
(ここで回想)4年半前。教会で結婚式のリハーサルをしているザ・ブライドのもとにビルが突然現れる。妊娠して足を洗うためビルから逃れ密かに暮らしていたザ・ブライドは動揺する。平静を装っていたビルだが、裏切りと嫉妬で心中は穏やかではなかった。教会に集まった連中は手毒蛇暗殺団によって皆殺しになる。そして偶然生き延びたのはザ・ブライドひとりだった…。(回想終わり)
アメリカに戻ったザ・ブライドは最初の標的バドを倒すため、テキサスの荒野へ向かう。バドは、ザ・ブライドの一件以来もはや殺し屋としての面影もなく、山奥のトレーラーハウスで一人アル中に落ちぶれていた。彼にも与えられた服部半蔵の刀は質屋に出したと言い放ち、兄ビルの忠告も聞かず運命のなすがままと半ばあきらめていた。
バドのトレーラーに忍び寄るザ・ブライド。だが、バドの先制の一撃はザ・ブライドを見事仕留める。バドはザ・ブライドを縛り、棺おけに入れて墓場に生き埋めにした。絶対絶命のザ・ブライドだが、彼女にはまだ「武器」があった。
(ここでまた回想)ビルの命令で拳法を習得するため達人パイ・メイのもとで修行を積んだ経験。それは過酷な激しい武術の修練と人間の尊厳を失うばかりの仕打ちだった。しかしそれに耐え、パイ・メイの信頼を次第に得たザ・ブライドはついにその極意を得ることができた。今その鉄拳で、棺おけの板を打ち破り、ザ・ブライドは墓場から生還した。そして再びバドの元へ。
バドはザ・ブライドから奪った半蔵の刀を100万ドルでエルに売りつける。取引に応じたエルだが、札束の中に毒蛇を忍ばせ、バドを殺してしまった。エルにとってザ・ブライドは一番殺したかったライバル。それを奪われた仕返しだった。半蔵の刀を手に入れ、帰ろうとした瞬間、ザ・ブライドの一撃がエルを襲う。ついにザ・ブライドとエルの死闘が始まった。半蔵の刀を手に取った両者の激しい戦いの末、ザ・ブライドはエルの目を拳法でくり抜き勝利する。盲目となり暴れて悔しがるエルを残し、ザ・ブライドは最後の敵、ビルのもとへ向かう。
ビルの養父から居所を聞き出したザ・ブライド。しかしようやくたどり着いたビルの部屋で見たものは…!

荒唐無稽なVol.1と違って、こちらはややまともな?復讐譚になっている。Vol.1では謎だった、ザ・ブライドがビルに何故殺されそうになったのか、ザ・ブライドの殺し屋としての過去などが明らかにされていく。(殺し屋としてどんな仕事をしていたのか?仲間との関係など詳細はなお不明)。ラストのシークェンスでは、キャラダインの熱演と、示唆に富んだ??台詞で半ば感動的で、特にビルが倒れるシーンではこれまでの伏線がよく活かされていてなるほどと思わせる。画面いっぱいに広がる派手なアクションとたたみかけるようなスピード感あふれるストーリー展開で見せてくれたVol.1とは対照的に、キャラダイン、マイケル・マドセン、ダリル・ハンナなど俳優陣の「演技」が見どころの一つになっている。

特に素晴らしいのはデビッド・キャラダイン。このビル役は最初ウォーレン・ビーティ(この時の脚本ではビルがジェームズ・ボンドのような爽やかなキャラだった)、次にケビン・コスナーにオファーされた。しかし彼らではこの映画は成立しなかったろう。キャラダインは若い頃『燃えよカンフー』というカルトTVシリーズで人気を博した。QTはこの番組の大ファンだったそうで彼に決めた。

教会のシーンの撮影に、キャラダインは私物の横笛を持って来ており休憩時間などに吹いていたらしい。QTはそれを見て、ビルの小道具に即決した。従って「教会でザ・ブライドが笛の音でビルが来たのに気づく」というのはオリジナル脚本に無い。因みにキャラダインはサイレントフルートというこれまたカンフーが登場するカルトムービーに主演していて、その役のひとつにフルートを吹くキャラがある(キャラダインはミュージシャンでもある)。QTはそれもよく知っていたというわけである。

また、キャラダインは実際に武道ではブルース・リーの弟子でもあった。だからビル役は本当に彼が適任だと思った。DVDの特典映像には、中国の村で敵(『スポーンスポーン』などに出ていた黒人アクションスター、マイケル・ジェイ・ホワイトら)をあっという間に斬ってしまうビルの「幻のファイト」映像がある。尺の都合でカットされたそうだ。ああ、もったいない!だが、これはどこでどういう関連のシーンだったのか不明。せっかくなのでもっとキャラダインのアクションシーンが見たかったもんですね。千葉真一とキャラダインの対決なんてあったら狂喜もんでしたが…。




QTが関わった『フロム・ダスク・ティル・ドーン』(ロバート・ロドリゲス監督)と全く同じ保安官役でVol.1に出演したマイケル・パークスがVol.2ではビルの養父エステバン役で再出演している。もともとこの役は別の役者が出演予定だったが、本読みの時にこの役者が来れないので、QTはパークスに代役を頼んだ。それがあまりにもぴったりだったので予定されていた役者(インタビューでは言及していなかったが、ヒスパニック系の超大物俳優リカルド・モンタルバンだった!これももったいない)を断り、彼に出てもらうことにした。パークスはQTが昔から尊敬している俳優のひとりである。

エステバンが喫っているのはあの「レッド・アップル・タバコ」
読んでいた本は『The Carrucan's of Kurrajong』。何だか思わせぶりに登場しますが、作者のJasmine Yuenとはカメラクルーの一員Jasmine Yuen Carrucanのことで、つまりおふざけでわざわざ作った小道具の本。内輪受けだがご苦労なことですね。

ここで「プッシーワゴンは廃車にした云々」という台詞があり、確かにザ・ブライドはあれっきり乗っていないわけだが、それはオリジナル脚本ではゴーゴー夕張の双子の姉ユキがプッシーワゴンを破壊したという設定になっていたから。ということは結構ユキ夕張の話が進んでいたということでしょうね。

もうひとりVol.1とは違う役でVol.2に出ているのがゴードン・リュウ(リュー・チャーフィ)。今回は拳法の達人パイ・メイ役で出演。リュウが若い頃出演していた香港映画のひとつ『続・少林虎鶴拳 邪教逆襲(日本未公開)』で彼が「敵として戦ったキャラクター:白眉」に扮装してもらっている。これはQTが面白がって扮してもらった。さすが彼のカンフーアクションは健在である。ゴードン・リュウには広東語の台詞を話してもらい、QT自身が英語に吹替えようとした(香港映画の下手な吹替音声のパロディ)が、結局リュウ本人の広東語になっている。なお、QTはVol.1でクレイジー88の中に紛れ込んで出演している。

Vol.1もVol.2もカメラワークには香港映画のような急速なズームやパンなどがなされている(ズームアップした時にちょっとピントがずれたり、上下に揺れたりするのもわざとやっている。かえって難しい)。これはQTが70年代の香港ショウ・ブラザース映画を真似ているのだ。わざわざ撮影監督ロバート・リチャードソンにビデオを見せて研究させた。なお、香港のショウ・ブラザースのスタジオでも何シーンか撮影が行われている。

ロバート・リチャードソンは2002年のバレンタインデーにQTからバラの花束と一緒に『キル・ビル』の脚本を贈られて、この映画への参加を誘われたそうだ。まったくこの人たちは。

サミュエル・L・ジャクソンが教会のオルガン弾きで出ているがほとんど顔が出ない。代役?じゃないかと思われるくらい。ボー・スべンソンも牧師役でカメオ出演。この人たちのギャラってどのくらいだろう?




毒蛇暗殺団たちのニックネームには蛇の名前が使われている。
ブラックマンバ=ザ・ブライド(キドー)
サイドワインダー=バド
コットンマウス=オーレン石井
コッパーヘッド=ヴァニータ
カリフォルニア・マウンテン・キング・スネーク=エル

これらはアメコミの『キャプテン・アメリカ』に登場する敵キャラの名前。エルがバドを殺すのに用いた蛇はブラックマンバでこの蛇の恐ろしさは、ご丁寧に映画中でエルが解説してくれる。

目玉をくり抜かれ、盲目となり、トレーラーの中で暴れてのた打ち回って悔しがるエル。これは『ブレードランナー』で彼女が演じたレプリカントのプリスの最期そっくり!このシーンはダリル・ハンナがQTを笑わせようと考えてアドリブで演った。草案ではザ・ブライドはエルの首を斬って殺すことになっていた。生かしたのはvol.3への布石なのだろうか?

教会の虐殺のラストカット、教会の中のカメラが通路を抜け、外に出る。そこに毒蛇暗殺団が現れて彼らが教会に入っていく。ここでカメラは上に上がって俯瞰のロングで虐殺が行われている教会の全体像を映し出すという長いカット。このカットは1カット。ステディカムでカメラを抱えたカメラマンが、途中でクレーンに乗って撮っている!こちらのリハーサルはどのくらいかかったのかなあ?

日本に関することはVol.2では、パイ・メイが「日本人なんて屑だ」みたいなことを言うシーン(パイ・メイは清の時代に実在した人物)と、服部半蔵が作った刀にまつわることくらいだが、Vol.1で半蔵が刀を作るところを見せたとおり、かなり「特別な宝物」として扱われている。バドがエルに100万ドルで売ると取引したが、この映画の小道具として作られたメインの刀にはおよそ6万ドルの予算がかかっている。これは撮影終了後ユマ・サーマンに記念品としてプレゼントされた。



Vol.2の最大の見どころはエルとザ・ブライドの戦い。QTはこのシーンを「金髪ガルガンチュアの戦い」と呼んでいるが、これは東宝怪獣映画『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ(英題『The War of Gargantuas』)』本多猪四郎監督)のこと。エルのセリフにも「ガルガンチュア(夥しい)」という言葉が出てくる(「ブラックマンバの一噛みは夥しく量の毒を発する」、というやつ)。実はQT、この『サンダ対ガイラ』が大好きらしい。確かに怪獣の兄弟が互いに死闘を繰り広げるあれは泣ける名作でしたね。(僕が子どもの頃怪獣映画で泣いたのはこれが初めてでした。)

ユマ・サーマンは身長178cm、ダリル・ハンナ180cm(足長いっ!)。それにしても金髪の女殺し屋同士がトレーラーハウスの中で日本刀でチャンバラを繰り広げる映画なんて、今後百年たってもありえないですなあ。
ビルの滞在するホテルの部屋のナンバーは「101」。『マトリックス』でネオが住んでいたのも101。この2つの映画で武術指導をしたのがユエン・ウーピン。


ビルの部屋に着いてからのビルとザ・ブライドの会話。ビルが娘のためにサンドイッチを作りながら、金魚が死んだ時の話をする。ここはこれまでの流れからいくと長く感じるシーンかもしれないが、実はラストに至る伏線にもなっていて、僕は結構ゾクゾクして見てた。ザ・ブライドが懸念した通り、ビルはBBを将来殺し屋に仕立てるつもりだったのでは?この映画をVol.1、Vol.2通して見ると、絶妙な伏線が貼られている。目玉をくり抜く技、パイ・メイが密かにザ・ブライドに伝授した必殺の「五点掌爆心拳」(5歩歩いた後に心臓が破裂し死が訪れる。最初の脚本では「十点掌爆心拳」だった)。この『北斗の拳』に出てくるみたいな技がいつ出るのかと気になっていたら、最後の最後で出ましたね。少し切ないシーンでした。
まあ、矛盾するところなど文句をつけようと思えばいくらでもあるけど、vol.2もあまり理屈考えずに見た方が楽しいね。
最後の対決は、オリジナル脚本ではビルが台詞で述べた通り、月の光の砂浜、または夜明けの陽の光の中でビルとザ・ブライドがチャンバラで勝負を決めるというシーンだったが、プロデューサーから長くなるという理由によりカットされて、このような不思議な対決シーンになった。QTは『(三船版)宮本武蔵』稲垣浩監督)の武蔵と小次郎の巌流島の決闘のようにしたかったそうだ。

その他トリビアなど。

かつてパイ・メイの元で修行したビル。ザ・ブライドを彼の元に連れて行くシーンで乗って来たジープのナンバーは「THX-1169」。あのルーカスの処女作は『THX-1138』。
ラスト近く、ザ・ブライドが娘と一緒に寝しなに見るビデオは『子連れ狼』!画面は登場しないが、教育にはとても悪いような気がします。ラストシーンで見ているアニメ『ヘッケルとジャッケル』(1946年)なら安心ですが。
その後、ビルとザ・ブライドの二人が話す場面で、ビルが見ていたテレビに映っている西部劇はテレビシリーズ『シェーン』。このシリーズで主役のシェーンを演じていたのはそう、デビッド・キャラダインだ!

撮影中、俳優たちは自分の撮影が終わるとカメラの方を向いて「ハロー、サリー!」と叫ぶ習慣ができた。これは編集者のサリー・メンケに対しての挨拶だった。

Vol.1、Vol.2とも要所で使われている音楽はほとんどがQTの膨大なコレクションからの選ばれている。(とっても長くなってしまうので詳細はカットします。サントラなどのライナーノーツをご参考ください。)

Vol.2のオリジナル音楽についてはQTの親友のロバート・ロドリゲスが担当した。

ロドリゲスは『キル・ビル』の脚本ができる前から曲を作り出し、使えるようなら採用してくれというスタンスで、たった1ドルのギャラでQTに渡した。QTもこの映画にピッタリだということでうまく利用している。

お返しにQTは『シン・シティ』の一部シーンをやはりたった1ドルのギャラで監督した。まったくこの人たちは。

それにしてもこのラテン(メキシコ)風音楽と演歌とB級映画のサントラとよく聴けばバラバラなのに確かにこの映画にはちゃんとマッチしている。映画の方全く見ずにサントラだけ聴くと頭がおかしくなると思います。

DVDの特典映像にはこのロドリゲスのライブ映像が入っています。オリジナルだけでなく名曲『ラ・マラゲーニャ』(この曲、昔アイ・ジョージが歌って紅白に出てた。古くてすみません)など演奏します。意外でしたが、ギター、かなりなテクニシャンでした!

アイ・ジョージ「定番ベスト」



エンド・クレジットの最後“And R.I.P.”というところがある。この“R.I.P.”は“Rest in Peace=安らかに眠れ”という意味で、よく見ると
チャールズ・ブロンソン

チャン・ツェー(張徹 『片腕必殺剣』シリーズや『嵐を呼ぶドラゴン』などショウ・ブラザースの名監督)
深作欣二(息子の深作健太には謝意があるが、Kentaの綴りが間違ってBentaになっている)
セルジオ・コルブッチ(『続 荒野の用心棒』などで知られる伊のB級映画監督)
ルチオ・フルチ(イタリア『サンゲリア』『ビヨンド』などホラー映画の巨匠)
ロー・リエ(羅烈 『続・少林虎鶴拳 邪教逆襲』でパイ・メイを演じた香港の名優)
セルジオ・レオーネ(『夕陽のガンマン』をはじめマカロニウエスタンなど数多くの名作イタリア映画を作った巨匠)
リー・ヴァン・クリーフ(『夕陽のガンマン』などで知られる俳優)
ウィリアム・ウィットニー(B級映画専門監督)
の名がある。

あちこちにQTのセルフパロディもある。
バドのトレーラーに貼ってあった二枚のポスターのうち一枚はマジェスティックチャールズ・ブロンソン主演のこの映画の原作はQT監督作『ジャッキー・ブラウン』の原作者エルモア・レナード。
もう一枚はトゥルー・ロマンスでこれもQTが脚本を書いた作品。
また、棺おけの中でザ・ブライドがウエスタンブーツの中の剃刀を出すのは『レザボア・ドッグス』でのマドセン演じるミスター・ブロンドと同じ。(耳切るやつですね)
ビルがザ・ブライドのことを「お前は生まれつきの殺し屋(a natural born killer)」だと言うのはQTが脚本を書いた『ナチュラル・ボーン・キラーズ』のこと。

『キル・ビル』の最初の構想『パルプ・フィクション』撮影中に、QTとユマ・サーマンの二人が交わした会話から。QTは70年代のカンフー映画の乗りの映画をやりたいと言い、ユマはボロボロなウエディングドレスを着た花嫁が登場する冒頭のシーンを思いついた。

そして次に二人が参考にした映画はジョン・ウー監督の『狼/男たちの挽歌・最終章』、ジャック・ヒル監督のコフィー(『ジャッキー・ブラウン』のパム・グリア主演作)、セルジオ・レオーネ(ボブ・ロバートソン名義)監督の『荒野の用心棒』の3本。刀で斬られて大量の血しぶきを上げた最初の映画は黒澤明の『椿三十郎』。やはり黒澤の間接的な影響はあるようだ。



で、結局、Vol.1、Vol.2ともにザ・ブライドとバドは一言も会話をしていない(ザ・ブライドは胸を岩塩弾で撃たれて話せなかった)。

vol.1でザ・ブライドは57人以上殺しているが、vol.2ではビル一人しか殺していない。この差!
僕がVol.1、Vol.2通して一番笑ったのはVol.2のラストの方に出てくるザ・ブライドの回想。ホテルの一室で彼女が妊娠に気づいた瞬間、キムという女殺し屋がザ・ブライドを襲撃に来るシーン。この二人のアホなやりとりは最高でしたね。最後にキムが「おめでとう!」と言って去るのには腹を抱えました。

噂では、vol.3は2本構想がある。ひとつはこの物語の後日談で、生き残った盲目のエル(両腕を斬られたソフィも?)がザ・ブライドに復讐を誓い、女ボスになって、ヴァニータの遺児ニッキーを強靭な女殺し屋に育てて決戦を挑む。一方のザ・ブライドも娘BBを守るためどうのこうのというもの。もうひとつは毒蛇暗殺団の物語をアニメで作るというもの。QTが一時示唆したが実現するかどうかは分からない(QTは作らない?)。理屈では確かに伏線貼りっ放しで中途半端なのでいくらでも出来そうですが…。タイトルは、ビルが死んじゃったんで次はエルを敵に『キル・エル』というのはどうだろ。エルが座頭市みたいに居合いの達人になって。

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